基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(5) 「効果なし」を回避する、
太陽光発電所の
雑草対策の手順と工法

防草シートの選び方や最適な施工法、草刈りにおける注意点など、具体的な雑草対策工法のポイントについて解説します。

草刈り作業中
草刈り作業中

雑草対策(3)「費用をかけたのに効果なし、実は失敗が多い太陽光発電の雑草対策工法」として、トラブルが多い「緑化工法」、広く普及している「防草シート」と「草刈作業」の注意点を解説しました。
今回は雑草対策(2)「太陽光発電のトラブルにつながる雑草、知っておきたい代表種」と雑草対策(3)の「草刈作業」のリスクを踏まえ、経済性、実務と安全性を考慮しつつ、雑草の種類や植生の状況に合った「最適な雑草対策工法」と「最適な防除方法のポイント」についてご説明します。なお、稼動運転中の太陽光発電所への対応を念頭とさせていただきます。
雑草対策(4)の最適な雑草対策の「調査」「判断」「予防」から検証、検討を経て具体的な「防除」を実施することになります。「防除」には、多様な施工・作業がありますが、①物理的防除(防草シート、草刈等)、②科学的防除(農薬等)、③生物的防除(緑化工法、天敵、山羊等)の3種類に分類できます。このうち、稼動運転中の太陽光発電所での不具合や失敗例が見受けられている「物理的防除」と「化学的防除」について、最適な防除方法のポイントをご説明します。

物理的防除

1-1防草シート施工

適切な材料選定と適切な施工を行えば、10年以上雑草の発生を抑制することが可能です。では、なぜ雑草発生の抑制に失敗してしまうのでしょうか。
「雑草が生える条件」には、「適正な温度」「水」「光」の3つの条件があり、この3条件がすべて揃わないと雑草は生えないのです。つまり、どれか一つでも欠けると雑草は生えてきません。

防草シートは、雑草が生える条件のうち、「光」を遮断することが目的です。防草シートを施工したのに雑草が生えてくるというのは、光の遮断が不完全な状態になったため、といえます。この原因は、雑草対策(4)でもご説明いたしましたが、施工不良と材料選定ミスによるものが大半です。

雑草生育の3条件

雑草生育の3条件

1-2防草シートの選び方と施工のポイント

a)材料選定のポイント

量産品の防草シートは、その大半が化学繊維で作られています。
織り方(厚みも含む)と材質で耐久年数がほぼ決まってしまいます。私の経験上、織り方では平織りよりも多層構造、材質ではポリエステル繊維(PET繊維)の方が良いと判断しています。
簡単な見分け方として「カヤ、チガヤ(※)」対策品かどうかも見分ける手段の一つです。

なお、砕石下に敷きこむ「防根シート」があります。「防根シート」は、「防草シート」と名称が似ていて、価格も手頃なものも多いため、「防草シート」と混同してしまう発電事業者の方もいらっしゃいます。しかし、「防草シート」と「防根シート」は、目的も工法も異なります。

  目的 工法
防草シート 耐久性と遮光性で
雑草繁茂を抑止する
地表面に使用
防根シート 根の伸長方向を抑制し、
根を他の方向に向けさせる
(根域制御)
必ず砕石等の下に施工
(防根シート施工後に砕石)

「防根シート」は、シートを施工してから上に砕石を敷き込むことを前提としていますので、間違っても防草シートのような使い方をしないようにしてください。
(過去に、間違って防草シートと同じ施工をしていた現場を見たことがあります。)
(※)チガヤとはイネ科の多年草で、太陽光発電事業において注意すべき代表的な草種であるカヤの一種です。

b)施工方法のポイント

雑草対策(3)でも簡単にご説明いたしましたが、大まかには、①施工前の雑草除去・整地、②メーカーの施工要領書・推奨施工に従うことがポイントとなります。具体的には、次の通りです。

・竹や笹に注意し、除草・抜根・整地をおこなう。

<注意>凹凸や突起物があると防草シートを突き破り、破損、短命の原因になります。

・風向き、雨の流れを考慮して十分な重ねしろを設け、隙間がないようにする。

・土壌凍結深(冬場の土壌凍結の深さ)を考慮し、メーカー指定の工法(押さえピン、施工間隔、副資材等)で施工する。

・目地粘着テープなどを使い、シートつなぎ目と押さえピンの頭部に貼る。

<注意>隙間(光が入る)と必ず雑草が生えます。

・端部は風雨などで剥がれないように構造物に接着もしくは粘着シートで隙間がないように施工する。

稼働中の太陽光設備における防草シート施工の様子
稼働中の太陽光設備における防草シート施工の様子
防草シートが隙間なく施工されている発電事業所(シートつなぎ目と押さえピンの頭部にもテープ貼りがされています)
防草シートが隙間なく施工されている発電事業所
(シートつなぎ目と押さえピンの頭部にもテープ貼りがされています)

2 草刈(刈払い機)

草刈りは世界的にみてももっとも普及した方法です。また薬剤を使用しないため安全な方法といえます。
しかし、太陽光発電所では問題が多く発生していますので、以下に、作業上の注意や発電事業者・業務委託者としての安全管理上のポイントを説明します。

【設備への被害防止】

・飛び石対策の刈払い機を使用する。

・高圧ケーブルや地下からの立上りダクト管、ケーブルについては、注意喚起マーク、旗、杭などを設置や保護材(コンクリート2次製品U字溝など)で樹脂ダクト管などを刈払い機の刃から守る。

【安全管理~発電所内及び作業員の安全、怪我、事故の防止~】

・安全管理者を決める(指定する)。

・作業前に必ずKY(危険予知)活動を実施する。

・防護服(ヘルメット、長袖、手袋、長靴、防護グラス)の着用する。

・怪我の発生を想定し、近くの救急病院を調べる。

・刈倒し、敷地内の集草をおこなわず、野火や病害虫発生防止対策として、必ず、集草や廃棄をする。

・草の多い場所は風通し悪く、湿度が高いため熱中症に注意する。

・感電防止の観点から、太陽光発電パネルなどの設備に触れないように指導する。

・労働安全衛生法第59条として作業者に「低圧」もしくは「高圧・特別高圧」電気取扱特別教育をおこなう。

化学的防除

除草剤などの化学薬剤を使用する方法です。経済性、人口減少による作業員減、作業負担軽減などの点から、今後農薬を使用した雑草対策は増えざるを得ないと思っています。
よく安全性についてご質問や間違った認識があります。その代表例が「農薬で無い除草剤(無登録農薬)よりも農薬(登録農薬)の除草剤の方が危ない、危険」といった間違った認識です。
詳しくは雑草対策(6)以降に詳しくご説明しますが、

結論は農薬(登録農薬:農薬取締法)の方が安全です。この理由は国の審査(防除効果と安全性)を経ており、散布(量・回数)など使用にあたっての基準も明確に定められているためです。
ただし、間違った使用方法のため、土砂が流失したり、隣接する樹木を枯らしたりなどのトラブルが発生している事例も聞きます。この点についても雑草対策(6)以降に詳しくご説明します。